天井の地震対策の設計

準構造耐震天井の基礎知識

劇場やコンサートホール、映画館など、音響性能を確保するために、質量の大きな天井や仕上げ材を天井高の高い位置に設置したいというニーズが発生しています。
吊り天井を耐震化した耐震天井では、吊ることができる天井の重さに限界があること、壁際や照明との間に隙間(クリアランス)を設置することが考えられるため、設計が困難なケースがあります。
そこで、当社は劇場やコンサートホールなどに対応した「準構造耐震天井」を開発しました。
こちらでは、準構造耐震天井の設計の留意点等について、当社開発部のエキスパートにより解説します✨

準構造耐震天井とは

国土交通省告示771号等に規定されている技術基準では、特定天井として脱落によって重大な被害が生じる可能性が大きな天井として、揺れやすい「吊り天井」が対象とされています。
ここでは、構造躯体と一体になった部分に仕上げ材等を取り付ける天井を「準構造耐震天井」と称します。
※詳しくはフトコロタイムズ
→天井・壁・床の情報サイトの“フトコロ・タイムズ”で「そのホールの天井、安全ですか?準構造天井を詳しく解説」として準構造天井を3回にわたり説明しています。

準構造耐震天井にするということは、“吊り天井ではない”とすることです。
そのためには、構造躯体と一体化させることが重要で、日本建築構造技術者協会(JSCA)より直天井という表現で目安が示されています。

直天井と認められるのは、上部主体構造と天井部分が一体となって動くとみなされる場合(応答倍率β=1.0)で、一般に固有周期が0.1秒以下(10Hz以上)の構造が直天井としてみなされます。
(引用)設計者のための 見落としてはならない非構造部材(日本建築構造技術者協会)
 
 

準構造耐震天井が採用されるケース

吊り天井の耐震天井では対応できない場合に、準構造耐震天井の採用が検討されます。

≪事例の紹介≫
●天井と壁との間に隙間(クリアランス)が設置できない場合
  ― 音楽ホールなど音響を配慮する

●算出された斜め部材(ブレース)の必要数量を天井裏に配置できない場合
  ― 天井裏に設備機器が多い
  ― 天井重量が大きく斜め部材の設置数が多い

●段差形状、曲面天井など複雑な形状を再現する場合

 

構造設計者の関与がポイント

準構造とは、「天井等の非構造材の落下に対する安全対策指針・同解説(日本建築学会)」により下記のように示されています。

準構造  機能的に大きな質量を必要とする天井は「仕上げ材」の延長で処理せずに、天井面を含むすべてを「構造」として計画・設計・施工し、建物が構造的に倒壊する以前には決して脱落、落下することのない安全性を持つ構造部材として実現する。
(引用)天井等の非構造材の落下に対する安全対策指針・同解説(日本建築学会)
 
 
いわゆる「ぶどう棚」などと呼ばれる仕上げ材を支持する「支持構造部」の構造設計に関しては、当然ながら構造設計者の関与が必要不可欠ですが、そこに留まらず仕上げ材を含めて天井全体を構造設計、構造計算を行うことがポイントになります。
仕上げ材を止付けるビスも重要な部材です。地震等による振動や衝撃により、ビスの破損が起こったり、天井板のボード等がビスから頭抜けして落下したりします。
ビスにつきましては、別コラム「接合部(ビス)のはなし」をご覧ください。
 
 

まとめ

準構造耐震天井は人命保護の確保を最優先として、高所に設置される天井を仕上げ材も含めて構造材として取り扱うことが重要です。

⇒詳しくは内装下地材アドバイザリー

2021.07.01