天井の地震対策の必要性

地震災害の大規模化で急がれる天井の地震対策

近年、大規模化している自然災害。そのなかで地震は、発生確率が予測されているものを含め、日本全国いつどこで起きてもおかしくないとされ、地震発生時の被害が大きなリスクとして懸念されています。

特に天井落下による被害は東日本大震災で大きく注目され関連の法律も改正されましたが、その後も天井落下は散見され、対策が急がれています。

安心・安全な暮らし、そしてBCP環境の構築のためには、天井の地震対策も重要なソリューションです。

大地震想定の地域 地震発生の確率高まる

政府の地震調査委員会は、日本列島でこれから起きる可能性のある地震の発生予測を公表しています。全国の地震学者が集まり、日本に被害を及ぼす地震の長期評価を行い、今後30年以内に大地震が起きる確率を、各地の地震ごとに予測しています。

今世紀の半ばまでに、太平洋岸の海域で、東海地震、東南海地震、南海地震という3つの巨大地震が発生すると予測しており、東海地方から首都圏までを襲うと考えられている東海地震、また中部から近畿・四国にかけての広大な地域に被害が予想される東南海地震と南海地震です。

これらが30年以内に発生する確率は、M8.0の東海地震が88パーセント、M8.1の東南海地震が70パーセント、M8.4の南海地震が60パーセントという高い数値です(図表1)。
しかもそれらの数字は毎年更新され、少しずつ上昇しています。

参照:https://president.jp/articles/-/43401?page=1                                      ※鎌田浩毅『首都直下地震と南海トラフ』(MdN新書)抜粋の一部を再編集されたもの

廊下などの避難経路として期待される空間も耐震化を

2021年2月13日に福島県・宮城県で発生した最大震度6強の地震により、70件以上の天井被害が発生しています。公共施設のみならず、民間施設の被害情報も報告されており、天井の被害調査や復旧に関する相談が多く寄せられています。
今回の地震被害では、特定天井のように多くの人が集まることが想定される空間だけではなく、廊下などの避難時に経路として期待される空間の天井の被害が多く報告されています。

ここで重要なポイントが廊下の天井被害です。

廊下は避難時の経路となるため、廊下の天井が落下すると避難の際に邪魔になったり、けがを誘発などの危険な状況を引き起こします。そのため、天井の大小や高い低いにかぎらず、その空間に求める機能により耐震化を検討することが重要なのです。また、もうひとつのポイントは、天井板のボードのみが落下したケースが多いことです。

このケースで重要なボードと天井下地を留めつける“ビス”については、コラム『接合部(ビス)のはなし(JACCA 塩入徹技術委員長)』で解説しています。

 

2021.04.26