1950年に日本電気(NEC)のラジオ事業部として蛍光ランプの試作を開始し、NECライティングとして2019年3月まで69年間照明事業に携わってきた歴史があります。2019年4月よりNECグループより独立、社名を株式会社ホタルクスとし、長年携わってきた照明事業に加え、光の知見を利用した光触媒や紫外線などを使用した除菌など環境衛生事業も展開。「お客様のお困りごとを光の力で解決できないか?」を元にお客様向けの製品開発も行っています。
公式ホームページ:https://www.hotalux.com/
地震、台風、水害、豪雪などの自然災害、また様々な原因による事故によっても停電が起こる可能性があります。
2021年1月の秋田県沿岸部を中心とした暴風雪の影響で起きた秋田市をはじめとする広範囲の停電、また2月の福島県沖を震源とする地震の影響で起きた東京エリアの停電は、私たちの記憶に新しいところでしょう。
停電が起こった場合にも必要量を満たすことが求められる機能がいくつかありますが、その1つとして"明かり"が挙げられます。
今回は、日常、そして災害時にみんなが集まる施設で起こる可能性がある停電時の"明かり"の問題とその対策について、株式会社ホタルクス 営業本部 営業推進部 部長 竹井茂さんにお話を伺いました。
自然災害の影響など急に起こることが多い停電。そのうえ長時間に渡る可能性も。
--停電によって照明が十分に機能しない場合、私たちはどんな問題に直面する可能性があるのでしょうか。
急に停電し真っ暗になることで、不安が増長し、パニックに陥る可能性があります。
また暗く周りの状況が確認できないため、窓ガラスの破損や物品の散乱によって動けない状況も想定され、急な停電でも明かりをどう確保するかが課題となります。
近年の気象状況の変化からか、地震、台風、水害、豪雨などの自然災害による長時間の停電がしばしば見受けられ、その災害規模から停電時間も数時間から数日に渡ることもあり、長時間に渡る明かりの確保が必要です。
なかでも大規模地震のような災害の場合は、耐震構造のビル等の建屋に居る場合、外に避難するのではなく、その場で長時間の滞在を求められることがあるものの、もし停電した場合に長時間に渡る明かりの確保が難しい施設も多く、大きな課題だと考えます。
長時間に渡る停電は、事業継続に影響する可能性。
--自然災害発生後、また二次災害など、停電が続いた場合に想定されるリスクも教えてください。
長時間に渡る停電が発生した場合、オフィス、事業所などで働く時間が限られることから、事務処理や倉庫からの出荷が滞るなど事業に支障をきたす恐れがあります。
公共の避難所でも長時間に渡る明かりの確保が求められますが、自家発電機や非常用バッテリーを用意しておくことは購入する際のイニシャルコストやそれを保持するためのメンテナンスやランニングコストが掛かり、費用面で課題があります。
病院や老健施設など体の不自由な方が過ごされている施設においても、長時間に渡る停電が発生した場合は患者様や入居者様を見守ることが難しくなるため、長時間の明かりの確保がとても重要です。
建物用途や部屋によって異なる停電時の"明かり"対策の目的。
--建物用途や部屋によって停電時に求める"明かり"対策は違うのでしょうか。
ビルオフィス、事業所、工場、公共の避難所、病院、老健施設を例に、それぞれがどんな場面で"明かり"対策が必要となる可能性があるか説明します。
- ビルオフィスや事業所
就業中に停電した場合、どのくらい停電が続くかはわからず、しばらく待機することが求められる場合があります。
その間に明かりを確保することで従業員の安心感を保つことができます。
また業務面においても、災害対策を打ち合わせたりするために必要な明かりの確保が求められます。
- 生産設備がある事業所や工場
24時間稼働の生産設備がある事業所は停電時でも補助電源で生産設備を稼働させることがあります。
設備は稼働しても照明が暗ければ、設備の管理ができなくなるため設備管理用としての明かりの確保が求められます。
- 公共の避難所
二次災害を防ぐための避難場所でもあります。
このことから、避難されている方の安心感を保つため、また停電すると街全体が暗くなり一層不安を煽ることから、地域防災の観点でも避難場所の明かりは確保することが求められます。
- 病院
医療関係者や入院患者は停電時でもその場に滞在せざるを得ない場合が考えられます。
施設に補助電源を置いていることが多いと思いますが、多くは電気を使用する医療機器向けで照明まで電気を供給できるか不明です。照明だけでも別に明かりを確保できれば補助電源の負担を軽くできます。
また病室の明かりを確保することで入院患者様の安心感と医療スタッフの活動にも役だてると思われます。
- 老健施設
施設関係者や入居者は停電時でもその場に滞在せざるを得ない場合が考えられます。
施設が真っ暗になることで設備や落下物にぶつかる等による二次災害も想定されますので、明かりを確保することで入居者の安心感を醸成すること、そして二次災害を防ぐために明かりの確保が求められます。
停電時を想定した"明かり"対策は大きく分けると2つ。
--停電時を想定した"明かり"対策を教えてください。
大きく分けると懐中電灯の準備、そして照明器具で対策する方法が考えられます。
●懐中電灯
<メリット>
費用感が小さく、置き場所に困りません。
<デメリット>
普段使用することが少ないため、電気切れなどメンテナンスが必要となります。
またスポット的な明かりしか確保できません。
●照明器具
発電機、または充電池が必要になりますが、これらにもメリット・デメリットがあります。
・発電機
<メリット>
"明かり"だけでなく電気製品全般を補えます。
<デメリット>
ガソリンなどの準備が必要なため、定期的にガソリンを入れ替えるなどメンテナンスが必要となります。
また普段は使用しないことから倉庫や物置に置くケースが多く一定のスペースが必要になります。
なお機器購入費用が高額になる点も挙げられます。
・充電池
<メリット>
"明かり"だけでなく電気製品全般を補えます。
<デメリット>
普段から充電できているか確認するなどメンテナンスが必要です。
また普段は使用しないことから倉庫や物置に置くケースが多く一定のスペースが必要になります。
なお機器購入費用が高額になる点も挙げられます。
停電時の照明器具への電力供給の課題を解決する策も。
--照明器具で対策する場合、デメリットを解消する方法はありますか。
『防災用Nuシリーズ』で解消することができます。
普段はLED照明として使用しているものが、停電時には自動で非常照明に変わるため、急な停電時でも自家発電機や非常用バッテリーを倉庫から出してくるような段取りは不要で、かつメンテナンスが不要な照明器具です。
さらに内臓バッテリーによって最大10時間、また点灯は1日5時間で2日間(合計10時間)などの分散点灯も可能なため、長時間に渡る滞在先でも安心して過ごすことが可能になります。
さらに詳しい情報はこちらをご覧ください。
(株式会社ホタルクスの『LED一体型ベース照明 防災用Nuシリーズ』ページが開きます)
これからも停電時の"明かり"対策は発展していく可能性。
--今後も自然災害などによって起こる可能性がある停電に対して、照明器具にはどのような性能・機能が求められるのでしょうか。
照明器具としては、バッテリー点灯時間がより長く、より明るい照明器具、さらには屋外にも設置にも対応できることが必要になるだろうと考えています。
また照明器具のタイプもベースライトだけでなくダウンライトタイプも求められるとも考えています。
いつどこで起きてもおかしくない自然災害とその影響で起こる恐れがある停電リスクを考えると、避難所や避難経路はもちろん、帰宅困難になった場合に滞在場所となる可能性がある企業のオフィス、事業所や工場、さらには私たち生活者が日ごろ訪れる施設の"明かり"にも備えが大切だと感じました。
今後、"明かり"の備えを新たに計画される方、見直す方は、設置面となる天井や壁の地震対策も一緒に検討されてはいかがでしょうか。