屋内プール天井の課題解決策とは?施設維持・設計のポイント解説

屋内プール天井の課題解決策とは?施設維持・設計のポイント解説
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コラム「屋内プールの維持管理と天井設計に向けて、関わる基準等を解説」では、これまでの天井落下の事故とその教訓をもとに示された技術基準や規則について解説しました。
この内容を踏まえると、"一般的なプール天井"以上の規模を持つ屋内プールの場合、既存、新築を問わず、特定天井に求められる技術基準に基づいて、建物内部の計画、そして天井でも安全確保に向けた設計を進めることが必要だと分かります。

屋内プールは全国各地で運営・維持管理されていると共に、近年の健康志向の一層の高まりからフィットネスクラブ等の一部として新築されるケースも多く見られます。
しかしながら、その特殊な環境を踏まえた維持管理、計画・設計が必要です。
このため、本コラムではその特殊な環境から指摘されている課題とその解決策、さらに天井の安全確保に向けた有効策を解説いたします。

 

屋内プールならではの天井の課題

屋内プールはほかの建物内部とは違い、温度・湿度ともに高い状態が長い時間続いている特殊な環境です。

屋内プールを計画・設計する場合に、その空間規模から多くが関係する特定天井の技術基準がありますが、これを解説している『建築物の天井脱落対策に係る技術基準の解説(以下、技術基準解説。)』21ページ 1-5 耐久性等関係規定(1)(2)に、屋内プール施設における課題が記載されています。

具体的には、屋内プール等における腐食・腐朽その他における劣化防止措置について記載され、ケイ酸カルシウム板が脱落する原因として、天井板自体の重量増加、含水や経年劣化による留付け強度の低下が指摘されています。

このほか、水面やタイルなど音を反射する部分が多いことから音環境の検討も求められます。

 

屋内プール天井の課題解決と安全確保を実現するには

屋内プールの天井を計画・設計する場合、技術基準の解説から、主な課題は湿気や結露であることが分かります。

これらを解決するためには、湿気や結露の影響を受けづらい「下地材」と「仕上げ材」の使用が不可欠です。施設計画に携わる方や設計者がそれぞれを選んで組み合わせることも可能ですが、組み合わせ(接続)部分における課題解決が難しく、加えて、この接続部分が原因となって天井が落下する危険性もあります。

このため、課題解決と建物内部の安全確保を実現しようとする場合、「下地材」と「仕上げ材」が組み合わせられている天井工法を採用することが、施設の維持管理、計画・設計の近道となります。

 

湿気や結露への対策、そして建物内部の安全を確保する天井工法とは

屋内プールの課題を解決する天井工法として、例えば膜材料を用いた天井や従来のような吊り天井が考えられます。
一方で、音環境の検討も必要になることを考えると、膜材料よりも従来のような吊り天井を用いて音響計画を一緒に進めることが現実的です。

これらの解決策の1つとしてKIRIIの『軽量Aqua天井』(企業サイトへリンク)があります。

この天井は防湿性能に優れ、「下地材」「仕上げ材」が外力を受けても外れづらく、天井全体が軽い、そして従来と同様構成の吊り天井であることから、新築はもちろん既存天井の改修にも適していることが特徴です。

 

優れた防湿性能・建物内部の安全確保
仕上げ材の両端部をアルミ製部材と塩ビ部材により上下からしっかりと挟むことで、仕上げ材の脱落を抑制するとともに、高温多湿になりがちな天井裏への湿気の侵入を防ぎます。

さらに、フレームであるアルミ製部材と塩ビ部材の端部は躯体にビス固定することで、地震による揺れ等が発生しても天井全体、そして一部であっても下地材どうしが外れづらい機構を採用しています。
またこれによって、施設を運営する中で起こる外圧や振動に対しても、下地材と仕上げ材の脱落リスクを大幅に低減しています。

接続部のおさまり:(上)下地材と仕上げ材、(下)壁際などの下地材端部と仕上げ材

天井全体が軽い
「下地材」「仕上げ材」とも軽い素材であることから特定天井の技術基準で示された手法の1つである、単位面積質量2キログラム/平方メートル以下で設計することが可能です。
"単位面積質量2キログラム/平方メートル以下の吊り天井"は、もし万が一脱落した場合においても重大な人的被害が生ずる可能性が低いことから、特定天井の対象外とされています。(前述の技術基準解説15ページ(4)より)

<音響計画について>
音響計画につきましては、設計事務所様にてご検討が必要となります。
天井全体での音響計画のご検討に向けて、仕上げ材単体の吸音性能値を提示いたしますのでご活用ください。
※仕上げ材(バリシールド)自体に高い吸音性はありません。
※仕上げ材は軽く硬い部材ではないこと、天井全体も高い剛性を有するものではないことから、コンクリートの躯体ほど高い反射はしないと考えられます。

<サッシ等の建具と天井のおさまりについて>
外からの光を取り入れる計画・設計によって、大きな窓が設置されるケースが多く見られます。
屋内プールはその環境の特性上、気密性が重要だと思われますので、金物等にて天井のおさまりの検討が必要となります。

 

ポイント!特定天井に求められる技術基準との違い

特定天井となった場合、1.各接合部を緊結すること、2.斜材を設置すること、3.天井と壁にクリアランスを設置することが一般的な仕様として求められます。
しかしながら、軽量Aqua天井は天井全体が単位面積質量2キログラム/平方メートル以下にできる天井工法のため、斜材やクリアランスを設置せずとも平成25年国土交通省告示第771号に対応した天井の設計が可能となります。
加えて、仕上げ材と嵌合式で固定することによって、技術基準解説で指摘されているプール天井における課題を克服できる天井工法です。

 

具体的な計画・設計にどう取り組めばよいか

屋内プールはその特殊な環境から、主に湿気や結露、そして建物内部の安全確保が求められています。
これは施設の維持管理、計画・設計に関わる法規および同解説書にも明記されており、準じた対応が必要です。

しかしながら、防湿性能や特定天井に求められる技術基準、音響計画など、屋内プール天井に関わる情報は多岐にわたります。

屋内プールの維持管理や計画・設計に携わっている方、天井の安全確保に向けた対策にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください
詳しい情報の提供や設計サポートなど、柔軟に対応いたします。

 

  • 軽量Aqua天井の関連資料(桐井製作所 企業サイト)

製品情報

カタログ(冊子中ごろに掲載)

CADデータ(標準図 [jww・dxf・pdf])

 

  • 参考文献

一般社団法人建築性能基準推進協会『建築物における天井脱落対策に係る技術基準の解説』平成25年基準の解説(平成25年10月版)
国土交通省告示第771号
(外部サイトへリンクします)

2022.09.05
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